二年前に事故にあって以来、車椅子生活を余儀なくされた深田光寛(清水昭博 )は、身体の自由を奪われた怒りを妻の秋江(浅野ゆう子)にぶつけていた。しかし、毎日繰り返される夫の暴力に耐え切れなくなった秋江は、愛人の彫刻家・青山和晃(田中哲司)と、夫・光寛の殺害を企てる。その計画とは、まず秋江が光寛を酒で眠らせ、光寛が隠し持っている拳銃を使って、青山が光寛を殺害するというものだった。

計画実行の夜。富士山麓の別荘地に建つ福田家で、秋江は予定通り光寛を酔わし、リビングルームの鍵を開けて、自室へと逃げ込んだ。数分後、暗夜の森に銃声が響きわたる。秋江がリビングに駆け下りると、そこには血に染まった光寛の死体が転がっていた。拳銃を持ったまま、呆然と立ち尽くす秋江。
 ところがそこへ、たまたま近くの道路で、車を溝に落とし込んでしまったセールスマンの倉茂恭平(三田村邦彦)が訪れてきた。光寛の死体を目撃した恭平は、すぐさま警察に連絡しようとするが、秋江に止められる。秋江は青山のことをかばい、とっさに自分が夫の暴力に耐えられなくなって殺したのだと打ち明けた。すると倉茂は秋江を哀れみ、警察に連絡するのをやめただけでなく、捜査が混乱するように、部屋のパソコンに別の容疑者をでっち上げるメッセージを打ち込んだ。さらに秋江を光寛の母・深田貴子(佐々木すみ江)や彼女の妹である広瀬朋美(野際陽子)、介護士の村岡(佐戸井けん太)らが生活する母屋に行かせ、その間に銃声を響かせ、周囲を撹乱させるのだった。
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