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水城邦子の元に、弁護士会から国選弁護の依頼が入る。助手の戸田裕美に反対されながらも引き受けた事件は、福祉事務所の保護係員が起こした傷害事件だった。福祉事務所の寺沢昇は、生活保護受給者の女性を包丁で切りつけたという件で起訴されていたのだ。寺沢は、起訴状の記述を全面否定。被害者の浦和喜多代の供述は、全くの嘘だと言う。双方の言い分は真っ向からぶつかった。邦子は真相の究明に乗り出す。
喜多代の主張は「男女の別れ話のもつれ」。だが寺沢は、喜多代に生活保護の辞退を勧めにいっただけで、包丁による傷も喜多代が自分でつけたものだという。寺沢の言葉を信じるなら、何故喜多代は嘘をついてまで寺沢を陥れようとするのだろうか？だが、肝心なところで寺沢自身の供述も言いよどんでしまう。黙っていても事実は見えないと、邦子は説得するも、寺沢は口を開かない。寺沢は一体、何を隠しているのだろうか？