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妖気ただよう横溝正史原作の推理ドラマシリーズ。おなじみよれよれハカマの探偵金田一耕助の片岡鶴太郎、映画でもはまり役磯川警部の加藤武コンビで描く今回は、美しくも不気味なフルート曲の調べ、火の線がつくる火焔太鼓の模様の謎のなかに、岡山の斜陽貴族一家の血ぬられた悲劇が展開する。
　岡山の農村の旧家、戦後没落した元伯爵椿英輔（渕野俊太）が、神戸の貴金属店強盗殺人事件の容疑者となり、失踪した。無実を信じる英輔の娘美禰子（遊井亮子）の依頼で、捜索のため探偵金田一耕助（片岡鶴太郎）が椿家に。椿家には英輔夫人秋子（真野響子）と美禰子母娘のほか、伯父の元子爵新宮公丸（平幹二朗）と愛人菊江、公丸の長男利彦（本田博太郎）夫妻、使用人の三島東太郎（赤羽秀之）らが住んでいた。その公丸が密室の応接間で絞殺され、続いて湯殿で菊江が、庭で利彦が惨殺された。
屋敷内では、英輔が作曲した「悪魔が来りて笛を吹く」のフルートの調べが流れ、また庭の奥には奇妙な火焔太鼓の模様が浮かびあがって、事件の謎を深めてゆく―――。